サァ――
シャワーのコックを捻ってまだ冷たいままのそれを浴びた。
事後の火照った躯には心地よかった。
じり、と動けば先程主が中に放ったものが腿をつたう。
何故だか泣きたくて堪らなくなった。
『解り易い貴方の独占欲と、解り辛い私の我儘』
ろくに髪も拭かずに寝室へ向かう。何も考えずに眠りたかった。
薄暗い寝室に着くと、そのままベッドに倒れこむ。あとは意識を手放すだけで、良かったはずだ。
後方からあいつの声さえしなければ。
「よぉ…。」
「…レーザーウェーブ。」
目線だけそちらに動かす。
奴は何がおかしいのか、喉をくつくつと鳴らしながら笑っていた。
「またガルバトロンに犯されてきたのか。」
カッ、と顔に熱が灯る。
「…私はガルバトロン様の“物”だ。主人が望めばそれに従うまでだ。」
「オレのときは散々、嫌だとかやめろとか喚くくせにな。」
言葉の端々から怒気が漏れている。乱暴に肩に置かれた手を払い除けることさえ出来なくて。だから近づいてきたレーザーウェーブの顔を避けるなんてことは、到底無理なことだった。
「…っ!!」
呼吸までをも喰らい尽くすような口付けには、甘さなどは微塵も感じられない。何時もは自分に安堵と快楽を与えてくれるそれはこの空間の何処にも存在しなかった。
「レ、ザ…っ!!」
唇が離れた瞬間に叫んでいた。
「何でッ…こん…な…」
「………。」
薄く羽織っていた夜着の胸元をはだけられ、首筋をきつく吸い上げられる。
未だ敏感なままの躯に、再び熱を籠もらせるのには充分な刺激だった。
「やッ……はな…せ…」
今出来る精一杯の虚勢。
レーザーウェーブの機嫌がさらに下降することも解ってはいた。
でも。
「何泣いて…」
吃驚したような、呆れたような、そんな声が降ってくる。
止まらない涙をそのままに、レーザーウェーブの背中に腕を回した。
「……ガルバトロン様の前の私は、ただの“物”だけど…お前の前の私は、“人”でいたいから…」
だから、拒絶もするし我儘も言う。
お前がきちんと聴いてくれるから。
「…言わなきゃ解ってやれねぇだろ?」
「……嫌だ。」
そんなこと言ってしまったら、私ばかり惚れているようで。
「本ッッ当にお前の我儘解り辛いな。……甘えろよ、甘えさせてやるから。」
適わない。たぶんこの男にはいつまでたっても。それもまた心地良いなんて、絶対に言わないけれど。
「ところで、」
「?」
「続き、していい?」
そう言いながら、脇腹を撫で始めている。背筋をぞくぞくと昇ってくる快楽をなんとか抑えつつ、言葉だけの抵抗をしておく。
「嫌に決まって……あッ…ゃ…」
END.
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